ナヴォーナ広場を後にして、真実の口へ向かった。
ここで息子と別れた。彼には彼の用事がある。妻と2人で歩いた。
■ 真実の口
サンタ・マリア・イン・コスメディン教会の外壁に、それはあった。
直径約1.5メートルの大理石の円盤に、髭と髪が渦を巻いた顔が彫られている。
海神オーケアノスの顔とされており、もともとは古代ローマ時代のマンホールの蓋だったという説が有力だ
目と口に穴が開いているのは、雨水を排水するためだったと考えられている
この「真実の口」には、有名な伝説がある
嘘をついた者が口に手を入れると、手が噛み切られる、あるいは抜けなくなるというものだ
世界中に知れ渡ったきっかけは映画「ローマの休日」だ
オードリー・ヘプバーン演じる王女の前で、グレゴリー・ペック扮する新聞記者が手を口に入れ、抜けなくなったふりをした
実はあのシーンはグレゴリー・ペックのアドリブだったという
王女役のオードリーの緊張をほぐすために、撮影中にいきなりやったのだそうだ
見たことのある光景が目の前にあった
マンホールの蓋が世界中から観光客を集めている
ローマという街の底知れなさを、またひとつ感じた

■ お土産屋で、日本人だとばれた
真実の口の周辺でお土産を買った。
会計の時、店員に値段を告げられた。「ナナユーロ」
日本語だった
こちらが日本人だとわかっていて、日本語で値段を言ってきた
悪い気はしないが、思わず笑った
どうやら見た目でわかるらしい
■ バチカン大聖堂へ
地下鉄でテルミニ駅へ戻り、少し散歩した。
夕食の前にマクドナルドへ立ち寄った
グルテンフリーバーガーがあるではないか
流石、マックだ
フィッシュバーガー、チェダーチーズのかかったポテト、コーラ
まあ食べられないことはない、という美味しさだ

テルミニ駅で息子と合流し、再び地下鉄に乗ってバチカン大聖堂へ向かった
入場のために列に並んだ。並んだ甲斐があった
中に入ると、その規模に言葉を失った
バチカン美術館とはまた別の驚きがある
広大な空間、天井まで届く柱、黄金の装飾
何もかもが人間のスケールを超えている
見学しながら、ただ圧倒されていた

■ 息子との別れ
見学を終え、ホテルへ戻った。
息子の荷物を取り、テルミニ駅へ向かった
息子はこの日、空軍基地へ帰る予定だった。
空港まで一緒に行くつもりだったが、駅は人だらけで、券売機のチケットもなかなか取れない。
時間も押してきた
結局、テルミニ駅で別れることにした
9ヶ月ぶりに会い、3日間一緒に過ごした
あっという間だった
またいつか会えるだろう
そう思いながら見送った
■ スペイン広場へ
息子と別れた後、妻とSPAGNA駅へ向かった。
スペイン広場だ
階段を上ると、見たことのある景色が目の前に広がった。

「ローマの休日」は通して全て観たことがない。しかし、ここのシーンだけは覚えている
ここは、ポスターや様々なメディアで何度も目にしてきた場所だ
それが今、目の前にある
妻はとても喜んでいた
近くのジェラート屋に入った
カタコトの英語でなんとか注文すると、大きなジェラートが出てきた。

2人で食べた。甘くて、冷たくて、おいしかった。
ローマ最後の夜に、ちょうどいい締めくくりだった
■ 地下鉄が止まった
ジェラートを食べ終え、地下鉄のホームへ降りた
すると、周囲がザワザワしだした。駅員が頻繁に行き来し、イタリア語の放送が流れる
何が起きているのかわからない
周りの人の動きを注意深く観察した。
英語で話しているグループの会話を聞き取ると、どうやら電源系のトラブルで地下鉄が止まったらしい
一人の女性が私たちに向かって、ダメダメというジェスチャーをしながら出口へ向かった。
それを見て、私たちも外へ出ることにした
妻のスマートフォンで調べてみると、スペイン広場からテルミニ駅まで歩いて帰れる距離だとわかった
それほど遠くはない
歩いて帰ろう、と決めた
ローマの夜道を、妻と2人で歩いた
大したことない
スマホの地図を頼りに進んだ。いい時代だ
こういう予定外のことが、旅の記憶に残る
いい経験だった。
■ 翌日の出発は4時
テルミニ駅に戻り、スーパーマーケットで夕食の食料を買ってホテルへ帰った
部屋で食べ、荷物をまとめた
翌朝の出発は4時だ。短い夜になる
ローマ最終日が終わった
息子との別れ、スペイン広場のジェラート、地下鉄トラブル
最後まで、何かが起きる街だった


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